旅の思い出26~百佑オフィス(高雄)~

 今年の2月に台湾の建築視察を沖縄の建築家の皆様と一緒に訪れました。

 数年前に(公社)日本建築家協会四国支部愛媛地域会主催で、講演会をお願いした建築家の末光弘和氏(SUEP. 九州大学准教授)と現地の建築家の曾瑞宏氏(RHTAA)が共同設計し、およそ2年程前に完成した百佑オフィス(高雄市、台湾)を訪れました。

左:末光氏 中央:施工会社担当者 右:共同設計者の曾瑞宏氏

高雄市に建つ樹齢約100年のマンゴーの木と共生することをテーマとして計画したオフィスですが、マンゴーへの日射量を考慮し,建築のヴォリュームを設定、またマンゴーとスラブによる日光の遮蔽効果と,開口部によって調整する換気によって快適なオフィス空間を実現されています。(新建築社2023.3月号より)蒸暑地域におけるZEBの設計ということで、お話を伺っていると、内容はとてもチャレンジングな内容でした。現在、温暖化している世界や日本の気候にも今後、省エネ設計の一つの方向性のサンプルになるのではないかと末光氏のお話に、いろいろ興味深くお話を伺うことができました。私達が訪問した際に末光氏も現地にいらっしゃるということで多忙なスケジュールにも拘らず、幸運にも直接、現地でオフィスの設計や取組みについて皆様と一緒に詳しく伺うことができました。

私達が訪問した時は通風量や日射等の観測を行い1年が経過したあたりで、データを計測している計測器がまだ手すりなどに設置されていた状態で、完成後の調査の継続している様子を確認することができたのが良い勉強になりました。

末光氏の説明によると、樹齢100年のマンゴーの木の成長が建築の建設によって悪影響が出ないように、ドローンによる樹木の3Dデータ観測、建物の通風ゾーン、地下の樹木の根の成長具合を3D測定により明らかにしたうえで、計画面積を考慮し、設計されたオフィスということで、人の活動が主に建物の設計の中心になることが殆どですが、この建物の場合、マンゴーの樹木の成長や環境について分析しながら、悪影響がない範囲でオフィスを設計するという、珍しいアプローチの設計が行われたということです。詳しくはSUEP.のウェブサイトへ(百佑オフィス | RESEARCH | PROJECTS | 株式会社 SUEP.

 百佑オフィスは台湾国内、国外でも高い評価を得ており、多くの賞を受賞しています。今後温暖化していく世界の気候変動の中で亜熱帯地域でのZEBの実現は今後のアジアの建築設計の中でもさらに注目されていくのではないかと考えています・・・。今後の末光氏の更なるご活躍を心よりお祈り申し上げます。愛媛でも末光氏の建築ができる機会があると良いなと思いました。高雄訪問の際は色々ありがとうございました!

(公社)日本建築家協会沖縄支部の皆様、末光氏、曾瑞宏氏と記念写真。(この時期は中国の旧正月の時期で、一緒に食事をご馳走になりました。また、記念の赤い旗や記念品等をお見上げに頂きました。GLA曾様、お気遣い、ありがとうございました!)

食事中も、質問などが相次だにも拘らず、ホスピタリティのある曾氏の説明が続きました。通訳は以前、私も同じ沖縄の設計会社に勤めていたことがある高雄市在住の喜屋武さんが大活躍しました。

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