旅の思い出 29 台湾(つづき2)

20年以上ぶりの台湾の旅はいくつかの街を訪れました。台南は坂茂さんが設計に関わった台南美術館(2号館)を訪問。建築の構成はNYのグッゲンハイム美術館と構成が似ていて、中央のEVを最上階に上がり上から降りてくるという動線計画。最上階にガラス屋根がありました。

ガラス屋根は外部にあるメガストラクチャーの巨大なトラスで支えられていてそれが地震の際は建物全体を補強する筋かい的な役割も担っているような構造計画のようでした。

少し残念だったのは複数回で外部に出られる庭を計画していたのですが、管理上、扉が閉められていて、2F以上での屋外空間が利用できなかったことです。人の配置でもう少しコンセプトが活かされると思いますが、運営的にそれが難しいようでした。(今後解決されると魅力のある外部スペースが活かされると思います)

1Fの入口も1箇所だけ開けているということで、坂氏が提案していると思われる大型のシャッター開口は残念ながら閉められていました。日本では設計監理で工事中も設計者の監理業として関われますが、台湾の場合管理は別になるそうで、細かなディテールはそのシステム上監理が外国の公共建築の場合難しいかもしれません。(他の国でも地元の設計事務所と通常は一緒にチームで設計すると思いますが)

 全体としてはとてもハイレベルな設計で、空調設計も完璧でした(通常上下温度差が生じる最上階でも日射のコントロールと空調設計が上手く機能していて、自然光が適度に入り、とても快適な美術館でした。 

2号館から歩いて10分の距離に新しい2号館とは対照的に日本統治下時代の警察署を美術館に改修して使われれいる1号館(分館)があります。

新しい建物がその背後に増設され新しい空間と古い建物(1930年代と思われる)の融合した興味深い建築でした。

建物は歴史の物語も人々に伝える役割(記憶装置的な役割)があるので、台湾で当時の日本の建築士が関わったRC造の建築(歴史主義様式)が今も使われれいることにとても関心を覚えました。台湾でも地震が多いですが、日本よりも当時の建築が台湾で見られることに興味を感じました。日本の古い建物も歴史的・文化的な価値を活かして魅力ある空間を作り出せる可能性、街の活性化への活用は十分に可能性があるのではと感じた時間でした。・・・つづく。

既存建物と中庭は当時のままのようでした。

エントランスホールは当時の様子を感じされてくれます。ギャラリーとして今は使用されているので、花飾りで当時の警察署の雰囲気は全く変わっていました。

愛媛県庁にも見られる歴史主義様式の面取りの部分(エントランス廻り)。丁寧に角のディールが処理されていました。建築は訪れてみないとやはり分からない。そんなことを感じました。

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