今治市黄金町に計画された小さな中庭付きの住宅。住宅の前面道路の向かいに丹下健三氏が昔通った尋常小学校の歴史がある旧今治市立美須賀小学校（現在建物は高齢者施設となり、校庭はアスファルト舗装された駐車場となっている）がある。依頼された土地の間口は狭く、奥行きがある土地だが、コンパクトなサイズの敷地のため、中央の中庭を挟んで前後に主要な居室を設け居住性を確保した。構造は小さな規模の為、コンクリート壁式工法、外壁は下見板張りとし、内部はヒノキを多く使用した温かみのある住宅となっている。4.5帖程の中庭テラスで訪問者をもてなしたり、お茶などを屋外で楽しんだりという想定で設計。奥にあるLD、キッチンから中庭が見えるように計画している。キッチンからは食べ物、飲物等も差し出せるように、小さな横長の開口部とした。道路高さ制限で建物のファサードの高さが決まっていて、奥に行くほど建物の高さは屋根勾配に沿って、高くなっている。道路からはわかりにくいが、３階建ての専用住宅となっている。外からは閉鎖的だが中に入ると中庭に面して、開口部が設けられ、コンパクトながらも、風の通り道、自然光の入り方、外からの視線を遮る２Fベランダの木製格子等、吟味しながら設計をした。前面道路から一歩入ると、「静かな暮らし」が楽しめる小さな住宅となっている。